漫画『ピアノの森』が最高!その魅力とは?

ピアノ イメージ

漫画『ピアノの森』は、1998年から2015年まで、ヤングマガジンアッパーズとモーニングにて連載されていた青年漫画です。

町外れにある“森の端”と呼ばれる貧困地域の中で育った少年・一ノ瀬海(カイ)が、森の中に捨てられていたグランドピアノと出会い、さまざまな経験や出会いを繰り返しながら、世界的なピアニストに成長するまでを描いた名作です。

今回は、15年以上にわたって連載され、映画化やアニメ化して大ヒットを記録した『ピアノの森』の魅力について語りたいと思います。

『ピアノの森』の作者・一色まことについて

まずは、作者の一色まことさんについてご紹介します。

『ピアノの森』は青年漫画ということと、独特の絵柄が特徴的なので、筆者は勝手に男性だと思い込んでいたのですが、一色まことさんは女性漫画家さんです。

『ピアノの森』以外にも、『花田少年史』という漫画の作者として有名で、この作品は2006年に須賀健太さん主演で映画化されています。

2008年には『ピアノの森』が、第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で大賞を受賞されています。

マンガ部門 | 第12回 2008年 | 文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品
文化庁メディア芸術祭はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。

筆者的おすすめポイントは、一色まことさんの描く絵。
決して細かく書き込まれているタイプの絵ではないのですが、そのキャラクターの内面がにじみ出ていて、とても魅力的なのです。


こちらは、『ピアノの森』の主人公・一ノ瀬海
セリフはありませんが、海がどのような男の子なのか伝わってくるような気がしませんか?

対して、こちらは『花田少年史』の主人公・花田一路(いちろ)
先ほどの一ノ瀬海とは全然違ったキャラクターであることがわかりますね。

カラーの色合いもとても優しげで、なんとなく「懐かしくてホッとする」ような絵を生み出されていると思います。

それでは、次の章からは『ピアノの森』の魅力について語っていきたいと思います。

『ピアノの森』の魅力① 登場人物の持つドラマ性

『ピアノの森』に登場するキャラクターは皆、心の中に葛藤を抱いています。

主人公の一ノ瀬海は、類まれないピアノの才能を持っているものの、自身の複雑な生い立ちのため、人生に希望を見出せないでいます。

そんな海の幼馴染で、有名なピアニストを父に持つ雨宮修平は、海の天才的な才能に触れ、「自分は一生、海にかなわないのではないか…」と、海への憧れと嫉妬心のはざまで揺れています。

海の生涯の師になる、阿字野宗介は、天才ピアニストとしての過去を持つものの、交通事故によりピアニストとしての未来を絶たれ、またその時に最愛の恋人を亡くしたことで、決して癒えることのない心の傷を抱えています。

海がショパン国際コンクールで出会う、最大のライバル・パンウェイは、ピアノを弾くことによって、“望まれない子ども”として生まれてきた自分の存在価値を、必死に見出そうとしています。

同じく、海がショパン国際コンクールで出会うポーランドの青年、レフ・シマノフスキは、家族からのプレッシャーに耐え切れず、また、最愛の姉に対しての自分のふるまいを責め続け、精神的に追い詰められています。

それぞれに癒えることのない傷を抱えながらも、ピアノを演奏することによって、ある者は自分の傷を癒し、ある者は最愛の人への愛を抱え、自分自身と向き合っていくドラマが描かれているのです。

筆者は何度も『ピアノの森』を読み返しているのですが、何度も泣いています(笑)

『ピアノの森の魅力』② クラシック音楽に触れられる!

『ピアノの森』の作中には多くの演奏シーンがあり、そのほとんどがクラシック音楽です。
クラシック音楽と言えば、「なんだか難しそう…」とつい敬遠してしまいませんか?

筆者もそうでした。

ですが、漫画の中でクラシック音楽はとても分かりやすく解説されていて、思わず「自分でも聴いてみようかな?」と思えるのです。

SNS上でも、『ピアノの森』がきっかけでクラシックが好きになったとコメントしている方々が多いです。

ここからは、作中で取り扱われた中でも、特にオススメの曲について、ご紹介したいと思います。

【ピアノ】子犬のワルツ/ショパン/Minute Waltz/Chopin/Piano/CANACANA

これは、フレデリック・ショパンが作曲した『子犬のワルツ』。

主人公・一ノ瀬海が、生まれて初めてのピアノコンクールで弾いた課題曲です。

子犬たちが小さな体を元気いっぱいに使って、遊びまわっている様子が目に浮かびませんか?
この曲は軽快なリズムとは裏腹に、指の力の繊細な強弱を使った、とても技巧的な曲です。
動画を見ていると、演奏者の指がものすごい勢いで動いているのがわかりますね。

筆者はこの曲が好きで、自分の結婚披露宴でのBGMにも使用しました。

4K – 革命のエチュード – ショパン – 高音質 – Etude Op.10 No.12 – Chopin – ピアノ – piano – CANACANA

こちらもフレデリック・ショパンが作曲した『革命のエチュード』。

作中では、海のライバルであるパンウェイが演奏しています。

ショパンはポーランドに生まれた作曲家ですが、彼の生まれ故郷であるポーランドは、ロシアによる侵略の歴史を持つ国です。

ショパンは20歳の時にポーランドを出て、弾圧により、生涯故郷に帰ることは叶わなかったそうです。

彼はこの曲を作曲した際、ポーランドのロシアに対する怒りの感情を大きくぶつけたと言われています。
この『革命のエチュード』は、ショパンの友人であり作曲家のフランツ・リストに献呈されました。

『ピアノの森』の魅力③ 漫画なのに音が聞こえてくる!

実は、ピアノを題材にした漫画には、大きな欠点があると思います。

それは、「音が聞こえてこない」ということ。

当然のことながら、絵から音楽は聞こえてこないですよね?
そのため、漫画を描く上で工夫が必要になってくるかと思います。

筆者は音楽やバレエが好きなので、それらを題材にした漫画をよく読むのですが、いかんせん他の漫画からは、音楽をイメージするのがとても難しいです。

ですが、『ピアノの森』からは、不思議と音楽が聞こえてくる(気がする)のです!
もちろん、それは読者の描き出すイメージでしかないのですが、それほど、演奏シーンの描写が巧みである、ということかと思います。

少しわかりづらいのですが、『ピアノの森』の演奏シーンには、このように“音の粒子”が描かれ、表現されています。

そして、単なる絵としての構図だけでなく、ピアノを演奏するにいたるまでの、登場人物の心情がしっかり描かれているので、読者としても感情移入しやすいのかもしれません。

最後に

この記事では、漫画『ピアノの森』の魅力について、ご紹介しました。

数ある音楽漫画の中でも、上位に入るオススメ作品です。

原作はまとめ買いが出来る文庫版が発売されていますし、アニメ版は現在Netflixなどで視聴可能です。

この機会に、ぜひ『ピアノの森』の世界観を味わってみてくださいね。

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