大人気ドラマ『古畑任三郎』を今こそ振り返ろう


古畑任三郎』をご存じでしょうか。

30代以上の方であればもちろんおわかりでしょうが、10代20代の方はピンと来ないかもしれません。芸人のハリウッドザコシショウさんや、霜降り明星のせいやさんがモノマネをしているので、若い方はモノマネは知っているけど本物は知らない、なんていう方もいらっしゃるかもしれませんね。

古畑任三郎』は俳優・田村正和さん主演、三谷幸喜さん脚本のドラマで1994年4月に放送が開始され、その後シリーズ化。2006年1月にファイナル作品が放送されましたが、その二年後の2008年に古畑の中学生時代をHey!Say!JUMPの山田涼介さんが演じる『古畑中学生』という特別ドラマが放送されました。

シリーズ完結まで14年、完結してから10年以上経っているにも関わらずいまだに人気芸人さんがモノマネしていたり、再放送されていたりと、長きにわたって愛されている作品です。

今回は自称・古畑任三郎マニアの私が、魅力を伝えたいと思います。

「ハンマーカンマ―」古畑任三郎ってなに

今の若い世代にとって「古畑任三郎」といえばハリウッドザコシショウの「ハンマーカンマ―」ではないでしょうか。

まず先に、ホンモノの古畑任三郎は「ハンマーカンマ―」とは一度も言ったことがありません!実際は、古畑任三郎が指を眉間に添えて悩むシーンというのは、もちろんありますが「んー」とか「えー」というだけですので、お間違えの無いように。

ちなみにですが、チャンバラトリオの南方英二さんが悩んで「ううん、なんちゃらなんちゃら」といったのを、ケンドーコバヤシさんが「ハンマーカンマー」と聞こえた、というお話から、「悩む=ハンマーカンマー」とハリウッドザコシショウさんが解釈し、古畑任三郎のモノマネをする際にリンクさせたそうです。

話がそれましたが、『古畑任三郎』は刑事ドラマです。田村正和さん演じる警部補の古畑任三郎が犯人のアリバイやトリックを解明していくドラマであり、毎回犯人役にゲストが出演しています。スペシャルも合わせると44名もの豪華俳優が犯人役として出演しています。

その中には、SMAPの5人、元プロ野球選手のイチローさんが本人役として犯人を演じられたことも大変話題になりました。

倒叙ミステリーの決定版

人気のサスペンスドラマといえば『あなたの番です』や『Nのために』など、ドラマを観進めていくうちに真相が明らかになるものが多いですし、とても人気です。

こういったサスペンスドラマに反し『古畑任三郎』は1話完結系ドラマであり、冒頭から犯人が明らかにされていてアリバイ崩しがメインとなる、ジャンルで言うと倒叙ミステリーにあたります。

それでも毎週見たくなるドラマであり、シリーズ化やスペシャル版が次々と制作される人気ドラマになるにはどんな理由があるのでしょうか。

喜劇作家・三谷幸喜の脚本

『古畑任三郎』はパターンが決まっています。まず、アバンタイトルとして古畑が視聴者へ語るシーンがあります。そしてオープニングテーマが流れ、ドラマが始まります。冒頭は決まって犯行シーンと古畑の捜査を描いており、古畑が相手を犯人だと確信を持ったとき、場面は暗転し、古畑は視聴者へ語ります。

いわゆる“暗転部”とファンの間では呼ばれていますが、他のドラマにはなかなかない手法だと思います。完全に『古畑任三郎』を現実と引き離しているわけですから。劇作家の三谷幸喜らしさが出ていると思います。

この“暗転部”では、ドラマの大詰めである犯人を自白に追い込むシーンの前振りとして、古畑が視聴者に対して犯人の動機や言動の理由がなにであるかを問いかけます。ときには、そういった視聴者への挑戦は何もなく“視聴者からのお便り紹介”をすることもありましたが。

このように『古畑任三郎』は、舞台の要素のあるテレビドラマであり、コメディー要素のあるミステリーであり、三谷幸喜でしか作れない唯一無二のドラマと言えるでしょう。

古畑任三郎の強烈なキャラクター

主人公である警部補・古畑任三郎そのものと周囲の登場人物のキャラクター性や関係性にも魅力があると言えるでしょう。主人公の古畑は本人のセリフの中にもありますが、「頭が切れる割に情に流されやすく、意外にミーハーである。性格は神経質でかなりねばり強い。」といえます。

古畑はほんの少しの矛盾に着目して犯人と思しき人物にとことん付きまとい、自白に追い込みます。自分勝手な理由で罪を犯した相手にはトラップを仕掛け、いじらしいほどに追い詰めます。しかし、犯人が女性であったり年配者であったりする場合は慈悲深い面も見せるので、案外人間らしい部分があるところも古畑の憎めない部分でありファンがハマる理由のひとつになっています。

脇を固める豪華俳優陣

この古畑のキャラクターが際立つのは相棒の今泉であったり、犯人役のゲスト陣の演技力によりうまく緩急がついていると思います。

相棒の、西村雅彦さんが演じる巡査・今泉は、古畑にかなりこき使われていたり邪険に扱われ、しばしば「何の役にも立たない人」と扱われがちですが、今泉の行動が古畑へヒントを与えることもあるので、古畑は「あれはあれでなかなか役に立つんだよ」とか「彼を手放さない理由がわかるだろう」と話しており、意地悪はするけれど一緒に習い事をしたり、今泉のフラワーアレンジメントの発表会に足を運んだり、海外旅行に同行するなどとても仲がいいことが伺えますので、ふたりの絶妙な関係性も見ていてとても楽しめます。

そういったコメディ要素もありつつ、見どころはやはり古畑と犯人の対決です。このドラマは刑事ドラマですが、アクションは皆無。犯人とは言葉の対決のみとなり、古畑扮する田村正和さんと犯人役のゲスト俳優との演技合戦が一番の見どころだと思います。前述のとおり、古畑任三郎は倒叙ミステリーなので冒頭から犯人が明らかにされています。しかし、動機であったり、犯行時の言動の真意については伏せられていたりすることもあり、自白のシーンで視聴者を驚かせてくれるのです。

何度も見返したくなるドラマ

語りつくせないほど、このドラマには魅力がたくさん詰まっています。ファイナルから十年以上経ちますが、今でも繰り返し見返しているドラマのひとつです。

2018年のgooランキング「ずっと続編が出ることを期待しているドラマランキング」では二位となりました。しかし、主演の田村正和さんは一部報道で引退説もささやかれており、現在76歳。続編があることは現実的に難しそうですし、ファイナルと銘打ったスペシャルドラマ以降動きはありません。

もう続編はないでしょうが、月日がたった今でもお勧めできる作品です。もし、興味を持っていただけたなら、ぜひご覧になってはいかがでしょうか。

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