Pay money To my Painはいま~【日本ラウドロック界のパイオニア】

皆さんは、ラウドロック界のパイオニア的存在「Pay money To my Pain」(通称P.T.P.)をご存じでしょうか。

デビューから6年余りの2012年12月30日にボーカルのKが急逝し、翌年のライブで無期限の活動休止を発表しました。これからの活躍が楽しみなバンドであっただけに本当にショックが大きかったのを今でも覚えています。

P.T.P.をご存じの方には当時を思い出していただきたいですし、ロックは好きだけどP.T.P.は知らない、なんていう方にも是非彼らの魅力を知ってほしいので、今回は彼らの軌跡についてや現在のメンバーの活動について紹介していこうと思います。

略奪愛?から生まれたPay money To my Pain

彼らを語るうえで外せないのは誕生秘話です。

結成前、ベースのT$UYO$HIとギターのPABLOはもともと別のバンドを組んでおり、ある対バンライブで知り合い意気投合。新しくバンドを組みたいという話から、ボーカルを探すことになりました。

T$UYO$HIは当時“GUNDOG”で既に活動を行っていたKを迎え入れたいと熱望し、あるライブで自身のバンドが誘われたのにもかかわらず、別のバンドで出演したいとKを誘いP.T.P.の前身となるメンバーでライブを行いました。

GUNDOGと同時進行でライブ活動を行っていたP.T.P.でしたが、2004年9月11日にKがGUNDOGをやめると宣言し正式にPay money To my Painが結成されました。

Kが突き付けた結成の条件

しかし、KはP.T.P.をやるうえで一つ条件を出しました。それはアメリカへ移住することだったのです。

デビュー前に渡米、、、全く理解できませんよね。しかし、Kは自身の英語のスキルについて満足しておらず、本場の英語に触れたいという理由から渡米を決めていたのです。メンバーも彼の意思を尊重し、デビューしてから3年間せかすこともなく、彼の帰国をひたすら待っていました。

すでに活動中のバンドから引き抜き、結成が叶うも渡米宣言。そんな自由奔放なKでしたが、そんな彼に翻弄されつつもメンバーは彼を待ち続けました。それほど彼には魅力があったんでしょうね。のちにT$UYO$HIはインタビューで、Kに出会った当時とデビューのころについてこう語っています。

―迷わずライブを観に行ってステージのKを観たとき「俺、絶対コイツとバンドやる!」って(笑)。
話したこともないのに勝手に思ってビビビビー!っと来ましたね。
(中略)
「T$UYO$HIくんは、よく俺を3年も待ってくれた」って。でも、これはアイツに最後に会った日にも言ったけど、「それは、そんだけお前が魅力的だったからだよ」って。でもKがアメリカに行って半年ぐらいは、敢えて一切の連絡取らず、アイツを孤独にしてやろう作戦を俺は実施しましたけどね(笑)。
(引用:https://lmusic.tokyo/news/feature/39)

T$UYO$HI(The BONEZ) インタビューvol.36
drug store cowboyとしてデビュー後、Pay money To my Pain、そしてThe B…

Kの帰国からの3年間

2009年にKがアメリカから帰国してからは、夏フェスやイベント、自身のワンマンライブや主催イベントなど精力的にライブ活動を行いました。2011年に発表されたアルバム「Remember the name」では、オリコン最高15位となり、当時ラウドシーンが根付いていない日本の音楽業界に大きな影響を与え、のちに日本のラウドロック界のパイオニアと言われるようになりました。Pay money To my Painはいま~【日本ラウドロック界のパイオニア】

現在海外でも活動し絶大な人気を誇る“ONE OK ROCK”や”Crossfaith”などとも親交が深く、彼らに大きな影響を与えたといわれています。

2012年には「Live 40」と銘打った全曲ライブを敢行。その後もベストアルバムを引っ提げてのツアーが決定していました。しかしツアー初日の前夜、公式サイトにてツアーの開催中止の発表があったのです。当時、私もよくライブに足を運んでいましたが、Kについては少し太ったかな?とか、やけに身体を鍛えてるなという印象はありました。しかし、ライブパフォーマンスについて以前より劣っていると感じたことは一度もなく、むしろ楽しそうにライブをしているKの姿がそこにはありました。

Kの体調について、のちのインタビューでメンバーはこう語っています。

一昨年(2011年)まではいまいち煮え切らないっていうかやり切ったって感じを出せてなかったけど、去年(2012年)に入ってからのライヴは良かったですからね。“LIVE 40”で良いスタート・ダッシュを切って、その後も“今年は良い調子だな”ってライヴは途中まで続いていたんですよね。そこから一旦ライヴの本数を減らして制作期間に入った辺りから思い通りにいかなくて葛藤が大きくなっていきました。
(引用:https://gekirock.com/interview/2013/11/pay_money_to_my_pain_3.php)

Pay money To my Pain| 激ロック インタビュー
-約1年前でしょうか。ベスト・アルバム『Breakfast』リリース直前のインタビュー以来ですね。その際、PTPの取材独特の空気感はそれまでも味わっていましたが、それとはまた違った空気が流れていました。ベスト・アルバム・リリース当時バンド内は一体どういう状況にあったのでしょうか? 一同:(沈黙) PABLO(以下P):...

ツアーがキャンセルになってからT$UYO$HIとZAX は、Kの盟友でもあるRIZEのボーカルJESSEのソロプロジェクト“JESSE and the BONEZ”を手伝うことが発表されており、2012年中にもライブを行いました。

私は、Kが休んでいる間だけサポートとしてプロジェクトを手伝うのだろうと思っていましたし、キャンセルになったP.T.P.のツアーもKが復帰すれば振替公演があるだろうと信じていました。

2013年 活動休止発表まで

しかし2013年1月10日にP.T.P.の公式サイトより、Kが2012年12月30日に自宅で逝去したと発表がありました。発表された翌日は前述のJESSE and the BONEZのライブが決まっていたので本当に信じることができませんでした。実際、翌日行われたライブにも行きましたがほとんど記憶にありません。

その後、JESSEのソロプロジェクトは“BONEZ”とバンド名を改めT$UYO$HIとZAXは正式メンバーとして活動することになりました。

The BONEZ Official Website
JESSE、T$UYO$HI、ZAX、NAKAによるロックバンド。2018.05.09 3rd FULL ALBUM「Woke」Release!! The BONEZワンマンツアー 「Woke」 5/11-7/22開催

P.T.P.としては11月にアルバムをリリース、12月にはイベントを行うことが発表されました。アルバムはKが生前録り終えていた楽曲とゲストボーカルを迎えた楽曲が収録されているものでした。

12月のイベントについては場所と日にちのみが発表され、その日ステージ上で何が行われるかは一切発表されていませんでした。前月にアルバムがリリースされていたこともあり、ファンの間ではゲストボーカルが歌うのではないか、ライブは一切せず追悼式が行われるのではないかなどといろいろなうわさが出回っていました。

イベント当日、いざ会場に入ると大きな垂れ幕とスクリーンがあり、ステージ上の様子はうかがい知ることができませんでした。開演時間になると、P.T.P.の歴史を振り返るドキュメント映像やKゆかりのアーティストやスタッフが彼との思い出を語る姿が映し出されました。映像は1時間ほどあり、このままライブはなく終わるのかなと思っていたのですが、映像が終わると場内には11月にリリースされたアルバムのオープニングSEが流れ始め、スクリーンにはP.T.P.のメンバーのシルエットが浮かび上がりました。

マイクスタンドの前に立つKの姿が映し出されると会場はどよめき、そのままアルバムの1曲目の演奏が始まるとともに垂れ幕はおろされ、ステージには3人のメンバーとスクリーンにはKの姿が映し出されました。今までのライブ音源やKのMCとともにライブは盛り上がりました。しかしそこにはKの存在はなく、それを実感されるような演出もあえてしていたように思えました。そして活動休止を宣言し、最後は3人の演奏のみでハードコアなナンバー3曲を演奏し切って終演となりました。

ギターのPABLOがMCで、声を絞り出すように「今日は、すべてを終わらせるためにここにやって来ました」といっていたのを痛切に覚えています。その言葉はファンにとってはとてもきついけれど今思えば、あのライブの演出とあの言葉があったからこそファンはKとの別れを実感できたんだろうと思います。

現在のPay money To my Painの活動

活動休止を発表してからは、2016年に10周年を記念しコンプリートBOXが発売され、CDアルバムランキングでバンド初のオリコンランキング1位を獲得しました。このことについて、公式Twitterでメンバーの写真とともにファンに向けての感謝の気持ちがつづられていました。それ以降、特に目立った活動はありません。

T$UYO$HIとZAXは前述のとおり、BONEZのメンバーとして活動しており、アルバムの制作やツアーやフェスへの出演を精力的に行っています。Pabloも音楽プロデューサーとして活動しており、他にも人気女性歌手LiSAのサポートギターや、Kj and The Ravensのメンバーとして活躍しています。

2013年12月のライブで正式に活動休止を宣言していますし、今後の活動は恐らくないと思いますが、それぞれメンバーが現在の活動をされる際にもPay money To my Painのメンバーであることが必ずと言っていいほど言及されているので、ファンとしてはとてもうれしいです。

リアルタイムでP.T.P.を観聴きしていなかった人も、この記事を読んで少しでも興味を持っていただけたら、是非彼らの作品を聴いてみてください。

[PICTURES] Pay money To my Pain

 

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